事業を始めると、避けては通れない道が「記帳」ですね。
これから記帳を始める、特に個人事業主の方、1人法人の方に向けた内容で、お伝えいたします。
そもそもなぜ記帳をするのかという理由ですが、
①経営状態の確認のため
資金の残高(お金がどのくらい残っているか)や、売上や仕入、経費の状況(入金や出金がどれくらいあるか)を把握するため
②法律で作成が義務付けられている
個人事業主の場合には「所得税法」や、法人の場合には「会社法」や「法人税法」によって、帳簿の作成義務、保存義務が発生いたします。
より詳しく分けますと、
個人事業主で「白色申告」の場合
白色申告 | 事業を開始して、 開業届を提出した状態です。 (青色申告の手続きをしていない) |
記帳方法、 保存義務 | 「総収入金額及び必要経費に 関する事項を、 簡易な方法により記録し、 その帳簿を 7年間保存しなければならない。」 |
個人事業主で「青色申告」の場合
青色申告 | 「青色申告承認申請書」を税務署に提出して、承認を受けた場合 |
記帳方法、 保存義務 | 「帳簿書類は、複式簿記による 帳簿を原則とするが、簡易帳簿によることも認められる。 帳簿及び書類は、原則として 7年間保存しなければならない」 |
となっております。
青色申告には特別控除がありますので、青色申告を行うことでメリット(税額が発生する場合、節税効果)があります。
申告の際に税額を減らすことの出来る、特別控除の金額はその記帳している、帳簿の内容で異なります。
青色申告特別控除(原則)
55万円の控除に該当しない場合には、こちらが適用されます。
控除額 | 10万円 |
記帳方法 | 簡易帳簿「損益計算書が作成できる程度に簡略された単式帳簿」 具体的には、「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」 「経費帳」「固定資産台帳」など |
青色申告特別控除(特例)
控除額 | 55万円(e-taxでの提出で65万円) |
記帳方法 | 「複式簿記により記帳し、貸借対照表および損益計算書を 確定申告書に添付して申告する」 |
となっております。
複式簿記は、会計ソフトを使用することで対応できます。
法人の場合にも同じように、白色申告と青色申告があり、青色申告の手続きをすることで特典(メリット)をうけることが出来ます。
白色申告は、簡易的な記帳(単式簿記)で行えます。
法人の方は、個人事業主の方に比べ、圧倒的に青色申告での申告が多くなります。
業績の把握のためにも、複式簿記で資金(資産)や、借入(負債)の状況の把握がより必要となりますので、メリットの多い青色申告をおすすめいたします。
法人で青色申告の場合
メリット | ・青色欠損金の繰越控除 (赤字でマイナスが出た場合、翌期以降の黒字と相殺出来ます) ・青色欠損金の繰戻し還付 ・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入 (30万円未満の備品などの資産を一括で経費に出来ます。 通常は、10万円未満まで。) ・中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除 など |
今現在、インボイス制度が開始したことで、より重要性を増している「記帳」業務ですが、皆様はどのように処理されていらっしいますでしょうか?
(参考)